離婚の準備において親権問題は切実です。
多くの場合、『親権問題』は離婚の話し合いの争点になります。
特に女性は、「何がなんでも子供を引き取って育てたい」という人が多くを占めます。
そもそも親権とは、どのように決めるものなのでしょうか。
今回は、親権に対する疑問について一つ一つ解説していきます。
「子供が幼いときはどうなるの?」
「逆に、子供がある程度の年齢に達している場合は?」
「夫と妻、どちらかが有利なケースがあるというのは本当?」
そんな様々な親権に関する質問にお答えしていきます。
離婚における一般的な親権の決め方
離婚の際、子供をどちらが育てるかについては、まずは夫婦で話し合うのが一般的です。
どちらが親権を取るかが夫婦の話し合いで決まれば、基本的には親権問題は片付きます。
しかし、親権問題で揉めるケースは少なくありません。
むしろ親権がなかなか決まらないことで、離婚準備が進められない夫婦は多いと言えます。
夫婦の話し合いで結論が導き出せない場合は『家庭裁判所』に申し立てを行います。
話し合いが平行線をたどるときは『調停』で親権を決めることができます。
また、それでも解決しないときには、『裁判』で審判されることになります。
但し、多くの場合は、母親が親権を取るケースが圧倒的多いというのが現実です。
平成27年度の司法統計では、調停離婚や審判で親権がどちらに決まったかは以下の結果が出ています。
■調停離婚や審判で決まった親権(平成27年度)
- 母親:9割
- 父親:1割
では、裁判所はどのような基準で親権を決定するものなのでしょうか。
具体的な方法を以下で見ていきましょう。
『離婚・親権問題』子供の年齢
まずはじめに、裁判所はどんな基準で親権を判断し、決定するのかを知っておきましょう。
■裁判所の評価の基準
- 第一に『子供の幸せの観点』で親権を決定する。
- 父と母のどちらに育てられることが、子供の幸せになるかを「総合的に」判断する。
では、子供の年齢によって両親のどちらかが有利になることはあるのでしょうか。
一般的には、『子供がまだ幼い場合には母親が有利』とされています。
生まれてから今日まで、子供に最も関わり、子育ての軸となってきたのが母親である場合が大多数を占めるからです。
裁判所は子供が幸せになれるかどうかということを重視し、生活面・安全面を考慮しながら判断していきます。
これまで子育ての軸だった母親が、これからも育てた方が子供が幸せになれると判断するのは当然の流れと言えます。
なお、子供が10歳以下の場合は、母親が親権者になるのが一般的 とされています。
理由は、衣食住に関して細やかに面倒を見ることができるという考え方に基づきます。
『離婚・親権問題』子供の意思は?
親権とは夫婦だけの意思で決めていくものなのでしょうか。
子供本人の気持ちや意思は考慮されないのでしょうか。
■『親権問題』は年齢によって子供の意思も尊重される
- 子供本人も充分に判断ができる年齢を15歳と定めている。
- 15歳を超えていれば、裁判所は子供の意思を尊重する。
- 15歳以下の場合、状況に合わせて子供の意見や意思を参考にすることがある。
しかしながら、離婚以前よりすでに別居している夫婦については、上記の通りにならないことがあります。
離婚前に別居し、またその期間が長ければ、子供はすでに別居後の生活に順応していると考えられます。
つまり、子供の年齢を問わず、子供と生活をしている親に親権が認められる ことがあるのです。
なお、子供がすでに20歳を超えている場合は成熟した大人であると見なされます。
したがって、夫婦の離婚において親権を考える必要はありません。
また、子供が20歳未満の場合でも、その子が結婚していれば成人した者とみなされます。
この場合も親権者の決定は必要ありません。
まとめ
- 親権問題で夫婦が揉めたときは、家庭裁判所に申し立てができる。
- 『調停』や『審判(裁判)』で親権を決めるという方法がある。
- 子供が10歳以下であれば、親権は母親に委ねられることが多い。
- 子供が15歳を超えているときは、子供の意思も尊重される。
先に紹介した通り、親権とは子供が幸せに暮らしていけるかどうかで決めるのが一番重要です。
しかしながら、子供のことになると感情的になってしまうこともよくあります。
中には、夫もしくは妻が、親権が決定する前に子供を連れ去って家を出てしまうというケースもあります。
親権問題が、夫婦の話し合いで円満に解決するのは理想ですが、感情的になって悪い方に向かうこともあります。
いざというときのためにも、家庭裁判所や弁護士のサイトをインターネットで検索しておきましょう。