近年の統計では、日本には一人で子育てをしている家庭は120万世帯を超えています。
子供の面倒を見ながら仕事をするのは容易なことではありません。
特に子供が幼少であったり、複数人の子供を抱えている母親は悩みが尽きないものです。
平均年収は300万円以下であり、また、20%の母親は就業できないのが現状です。
しかし、そうは言っても子供の貧困は何としても避けたいものです。
そこで今回は、児童扶養手当の支給要件について考えてみましょう。
また、貯金を持っていても児童扶養手当がもらえるのか否かについても解説します。
なお児童扶養手当は、認定さえ受けることができれば、申請をした翌月分から支給されることになっています。
児童扶養手当は貯金があるともらえない?
児童扶養手当とは、離婚や死別等の理由により一人親で生活をする家庭の子供に対し支給されるものです。
全ての子供が幸せに育つことが目標であり、国が教育や生活面を支えるために支払います。
では、預貯金を持っている場合は、国は児童扶養手当という支えがなくても良いと判断するのでしょうか。
児童扶養手当受給者資格の調査では、預貯金がいくら位あるのかは特に調べません。
児童扶養手当の認定ではあくまでも「所得」から審査が進められます。
但し、仮に多額の預貯金を持って離婚する場合には、母親本人が「生活には全く困らない」という理由で、児童扶養手当は要らないと判断することもあります。
児童扶養手当は、その家庭の所得状況、子供の人数に応じて金額が設定されます。
所得額が一定額を上回っている場合には、減額または支給されないことがあります。
なお、児童扶養手当の支給に必要な条件については、この次の項目で述べていきます。
児童扶養手当の支給要件とは
ここでは、児童扶養手当を受給できるのはどういう子供なのかをまずは整理します。
よく知られているのは、未婚や離婚という理由で一人親世帯で育てられている子供が挙げられます。
死別による一人親世帯も該当します。
他には、両親そろってはいても、父母のどちらかに一定以上の障害があり受給対象者になることもあります。
また、子供が孤児である場合も児童扶養手当を受けることができます。
しかしながら、下記のようなケースの場合は児童扶養手当が支給されません。
■児童扶養手当に該当しない要件(例)
- 住所を外国に移している。
- 父または母の死亡により、労災等が受給できている。
- 里親等に委託したとき。
- 所得が一定額を超えている場合(支給額の減給または支給されない)。
- 祖父母や兄弟姉妹と同居し、家族の所得を加算すれば所得額が一定額を超える場合。
- シングルであっても所得が一定額を超えている場合。
注目したい点のは、「所得」が一定額を超えれば、減給または支給されないという点です。
上述の通り、所得とは親本人のものばかりでなく、同居者の所得も含まれます。
また、別れた夫から毎月養育費を受け取っている場合は、養育費も「所得」として換算されます。
児童扶養手当の受給手続きの仕方
児童扶養手当の申請は、申請時に住民登録をしている地域の役所で手続きをします。
代理人による申請は認められませんので、必ず申請者本人が窓口に行くようにしましょう。
手続きに際する注意点を以下にまとめます。
■児童扶養手当申請の注意点
- 振込先の預金通帳(貯金通帳)は必ず本人名義のものを持参する。
- シャチハタは受理されないので、朱肉を使用するタイプの印鑑を持参する。
- 必ず自分で申請に行くこと。
- 世帯の状況によって必要書類が変わることを知っておく。
■児童扶養手当の申請に必要となる持参物
- 母子(または父子)の戸籍謄本
- 世帯全員の住民票の写し(続柄・本籍が記載されているもの)
- 預金通帳(貯金通帳)
- 年金手帳
- 印鑑
- 世帯全員の個人番号カード等
その他、世帯の状況によっては他にも書類が必要になる場合があります。
役所を訪ねる前に、事前に電話で確認しておきましょう。
まとめ
- 児童扶養手当の受給対象か否かの審査では、預貯金額は考慮しない。
- 所得が一定額を超えていると、受給対象者として認められないことがある。
- 児童扶養手当の手続きには必ず申請者本人が窓口に行くこと。
児童扶養手当の受給を受けている世帯は、すでに数年前に100万世帯を超えています。
一方で、家族からのバックアップもあって受給対象外になっている家庭があることは事実です。
しかしながら、中には制度の知識がないために申請をしないまま、生活が困窮している世帯もあります。
まずは、自分の家庭は支給対象として認定されるかどうかを知るためにも、役所で相談してみることをお勧めいたします。