一旦離婚を決意してしまうと、一日も早く夫と離れて暮らしたいと思うようになるものです。
別々の人生を歩もうと決めた相手と、同じ屋根の下にいることは確かに苦痛です。
しかしながら、離婚を成立させるまでには時間が掛かるものです。
また、将来の計画をしっかり立てるためには時間を掛けていくべきとも言えます。
こういった理由から「先に別居、離婚は後」という選択をする人もいます。
もしも別居を選択した場合、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
また、子連れで別居する場合はどんなことを考慮する必要があるでしょうか。
ここでは、離婚前に別居を選択したケースを取り上げます。
持ち家がある場合の離婚前別居は慎重に
まず最初に、持ち家に住んでいるケースからご説明します。
マイホームがある場合は、別居を急ぐと大変な目に遭います。
夫を残し、子供を連れて家を出た時点で、客観的に夫婦は「破綻状態」と見なされます。
その後、夫の許可なく立ち入ると不法侵入扱いされ訴えられることもあるのです。
家は夫婦の協力があって買うことができた大切な財産であり、財産分与の対象です。
離婚を決意したら、最初に大きな財産であるマイホームの価格を知り、財産分与問題に取り組むことが大切です。
財産分与の問題を残したまま、持ち家を去ることのないようにしましょう。
晴れ晴れとした気分で離婚が成立しても、後からマイホームで揉めるケースは非常に多いのです。
離婚前の別居にメリットはある?
ここでは、離婚前に子供を連れて別居の道を選んだ場合のメリットを紹介します。
まず1つ目のメリットは「親権」を取りやすくなることです。
一般的に、夫婦双方が親権が欲しいと申し出た場合、高い確率で母親が親権を得るものです。
親権争いにおいて母親が有利だということは広く知られています。
そしてもう一つ、「同居している方の親が有利になりやすい」という傾向があります。
夫と別居する際に子供を置いて行けば、子供は夫と同居することになりますので気をつけたいですね。
2つ目のメリットは、子供の安心・安全を守れる可能性がある点です。
離婚協議をしている期間は、大人がどのように繕っても家庭内の空気は殺伐としたものになりがちです。
両親の間に板挟みになり、息苦しい思いをしている子供もいます。
また、父親から子供に母親の悪口を言う、離婚後はお父さんと暮らそうと説得することもあります。
離婚問題で子供を疲弊させるよりは、離れて暮らす方が良いこともあるのです。
離婚前の別居のデメリット
離婚前に別居することにはデメリットもあります。
■離婚前の別居のデメリット
- 離れて暮らすための資金集めを急がなくてはならない。
- 生活費が不足し、急速に生活が追い詰められることがある。
- これまでと違う市町村で別居することになれば、子供の転校問題も抱えることになる。
- 夫に不貞行為があった場合、別居するとその証拠や事実を見つけにくくなる。
- 結婚生活中に貯めてきた、夫名義の預貯金や財産がどの程度あるかが掴みにくくなる。
夫婦関係が悪化または破綻すると、マイホームをはじめ財産の取り分を多くしたいという心理が働きます。
別居している間に、夫が自分名義の預金通帳などを隠してしまえば見つけることは難しくなります。
財産分与の問題を放置したまま慌てて別居することがないようにしたいものです。
まとめ
- 離婚や別居が決定したら必ず財産分与の問題に着手すること。
- 特にマイホームは大きな財産であるため、争いが激化しやすい。
- 妻が家を出た後に財産隠しをする夫もいる。
- 別居をする場合は生活資金の確保と子供の転校手続きが必要である。
婚姻前から持っていた自分の財産はあなたのものです。
別々に生活する際は、自分の財産や両親からもらった財産を持ち出すようにしましょう。
預貯金だけでなく、売ればお金になるようなものは全て財産です。
また、離婚が成立しないまま別居が長引く場合は、生活が困窮することがあります。
1年以上の別居になると、離婚後に支給される「児童扶養手当」がもらえる可能性があることを知っておきましょう。
なお別居後は、収入の低い方は収入の高い配偶者に婚姻費用(生活費)を請求することも可能です。