夫に継続的に暴力を受けている場合はDVの証拠が集めやすく、DVを理由として離婚することは比較的容易ですが、一度きりのDV行為の場合には、それを理由に離婚することは可能なのでしょうか?
ここでは夫から受けた一度の暴力で離婚できるかどうかについて説明していきます。
夫からの一度のDVで離婚できるか?
夫の一度の暴力で離婚できるケースもあります。
暴力が日常化している場合には、当然民法上の離婚原因の一つである「婚姻を継続しがたい重大な理由」になることは明らかですが、たった一度の暴力がこの理由に当たるかどうかが離婚の可否に関わってきます。
しかし、夫側の一度きりの暴力で離婚を認めた判決が出た例もあり、一概に離婚の対象にはならないとは言えません。
一回の夫側からのDVで離婚が認められるかどうかは、暴力を振るわれた側がその暴力によってどれだけ恐怖心を抱いたか、精神的に傷を負ってしまったかによって判断されます。
暴力をふるった側は「たった一度の事だし、きちんと謝ったからもう終わったこと」と思っている場合が多いのですが、暴力を振るわれた側は、それ以降夫が恐怖の対象になり、精神的に安定した結婚生活を送ることができなくなってしまうこともあり、このような場合には、結婚生活を続けていくのはなかなかに難しいこともあります。
どの程度のDVであれば離婚できるのか
どの程度からDVとなり、離婚の理由となるのでしょうか?
日常的に夫から暴力・暴言や嫌がらせ、極度な経済的締め付けなどを受けていた場合には、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すたるめ、DVと認識されます。
暴力はともかく暴言や嫌がらせ、無視などは一過性の物であれば、単なる夫婦げんかの延長としか第三者に捉えられず、DVとは認められないこともあります。
自分が「DV行為を受けた」と感じたら、きちんと日記に記録するなどしておきましょう。
しかし、一度きりの暴力の場合は、どのような場合が離婚事由になるのでしょうか。
判断の基準は、暴力を受けた本人が、どの程度身の危険を感じ、その後精神的に傷を負ってしまったかということになります。
階段から突き落とされたり、刃物で脅されるなど、命の危険を感じるような暴力を受けた場合には、一度きりの暴力でも離婚事由になることがあります。
DVを離婚事由とする離婚の話し合いの進め方
DV行為を行う夫と離婚について話し合いをするときに、絶対にやってはいけないことは、「二人きりで話し合うこと」です。
日常的にDVを行う夫の場合は、妻を所有物のように考えている人も多く、離婚の話を持ち出すと、激高してさらなるDV行為を受けることが多いからです。
DV夫と二人で離婚の話し合いを行い、円満に離婚できることはまずないということをしっかり覚えておきましょう。
もし、話し合いによる協議離婚でDV夫との離婚を成立させたいと思うなら、代理人として離婚に強い弁護士に話し合いの依頼を行うことをおすすめします。
しかし、DVが原因の離婚はほとんどの場合、協議離婚ではなく、調停や裁判にもつれ込むことが多いようです。
そのような場合でも、頼りになる弁護士を付けていれば、有利な条件で離婚できる確率が高くなります。
お住まいの自治体の無料法律相談や、法テラスに相談するなどして、離婚問題に強い弁護士を紹介してもらうことをおすすめします。
まとめ
- 一度のDVでも離婚事由になる可能性がある
- DV行為を受けたら、証拠をしっかりと残しておく
- DV夫と二人きりでの離婚の話し合いはしない
- 離婚問題に強い弁護士に依頼することも視野に入れる
DV行為を行う夫との離婚を、自分一人の力で行うのはかなり難しいと思っておきましょう。
離婚の話し合いをするときには、必ず信頼できる第三者に同席して貰うことを忘れないようにしてください。
たった一度のDVでも離婚の理由になることもあります。
DV行為を受けた場合には日記をつけるなどの方法で証拠を残しておくようにしましょう。