夫婦間の離婚が成立するまでには、数々の困難と準備が待ち受けています。
「どのような方法で離婚するのか」を考えるのも課題の一つです。
親権を取りたい、子供の転校手続きはいつまでにしたい、養育費が欲しい等、妻の要求通りに話が進むとは限りません。
そもそも、離婚すること自体を相手が徹底拒否することもあるのです。
日本には離婚の方法が3つあります。
今回はそれぞれの離婚の方法について解説します。
「協議離婚」とは
■3つの離婚の方法
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚(審判による離婚)
一番上の「協議離婚」が最も簡単な方法であり、調停離婚、裁判離婚と進むに従って大変になっていきます。
まずはじめに、「協議離婚」についてご説明します。
「協議離婚」とは、夫婦間における協議によって離婚することです。
わかりやすく表現すると、夫婦間の「話し合い」で離婚条件を決め、合意することで離婚するのが「協議離婚」です。
全ての内容を夫婦だけで話し合って決めていきますので、弁護士を雇う必要もなく、費用が掛からない点が利点です。
但し、離婚問題に詳しい人が介入しないということは、知らず知らずのうちに不利な条件で話が進むこともあります。
思わぬ盲点に気づかないまま協議が終了し、離婚後に後悔したり、別れた夫と再度言い争うこともあります。
「調停離婚」とは?
夫婦で何度話し合っても、折り合いがつかず、お互いの合意が取れなければ離婚することはできません。
2人の協議で解決できなければ、一般的には、家庭裁判所に離婚のための調停を申請するという方法に進みます。
「調停離婚」も、夫婦間の合意を取って離婚を成立させるという点は協議離婚と同じです。
ただ、裁判官と調停委員が入るため、離婚に関する知識不足を補える点が、協議離婚と大きく違う点です。
なお、調停離婚にかかる費用は、申し立てた側が支払います。
印紙代(1,200円)、必要書類となる戸籍謄本代(450円)、呼び出し状の送付代(1,000円前後)を支払います。
調停離婚も基本的には夫婦間で合意を取って進められますので、高額な費用は掛かりません。
但し、調停に弁護士を連れて行きたい場合は、別途費用が必要となります。
「裁判離婚」とは
最後に「裁判離婚」の方法をご説明します。
調停まで持ち込んでも決着がつかなかった場合は、裁判へと進むことになります。
個人で(自身で)裁判離婚する場合にかかる費用は、およそ2万円前後と言われています。
裁判で必要な費用は、戸籍謄本(450円)、収入印紙(1万3千円以上)となります。
裁判の内容が「離婚の可否」だけなら、必要となる収入印紙は1万3千円分です。
但し、裁判で慰謝料争いもする場合、その請求額が160万円を超えれば収入印紙代は1万3千円以上となります。
他にも裁判で決めたい場合は、さらに収入印紙代が「加算」されていきます。
■その他の収入印紙代(例)
- 財産分与まで決める場合の加算額:1,200円
- 養育費まで決める場合の加算額:1,200円(子供一人につき)
なお、弁護士を頼ることになれば、裁判にかかる費用は一気に上がることになります。
弁護士に支払う金額としては、相談料だけでも30分あたり5,000円支払うのが平均額だと言われています。
その他、事案に着手したときに支払う「着手金」、裁判終了後に支払う「基本報酬」や「成功報酬」等も必要です。
基本報酬の相場は30万~40万円程度、成功報酬の相場は20万円程度と言われていますが、弁護士によって金額は様々です。
まとめ
- 離婚方法には「協議」「調停」「裁判」の3種類がある。
- 個人で裁判に臨む場合は、「収入印紙代」と「戸籍謄本代」が必要である。
- 弁護士を雇って裁判を行なう場合は、「着手金」「相談料」「報酬」が必要となる。
離婚の準備で最も重要となるのは「お金の確保」です。
夫との話し合いが長引き裁判で決着をつける場合は、特に資金が掛かります。
また、何度も裁判所に足を運ぶことになりますので、交通費も嵩みます。
そして、離婚後の生活を左右するのもお金です。
中でも、親権を取って離婚しようと考えている人は、生活を困窮させないためにも徹底的に資金を準備することが必要です。
一人親世帯のうちの半数が「貧困世帯」になっている現状を知り、財産分与・慰謝料・養育費問題に計画的に取り組みましょう。