日本における離婚の9割方は「協議離婚」という統計が出ています。
協議離婚は夫婦間の話し合いで決めるものであり、裁判のように時間がかからない点が利点と言えます。
相手さえこちらの要求に合意してくれれば、弁護士を雇う必要もなく、費用は不要です。
但し、離婚条件を安易に決めてしまったり、簡単な約束で済ませることは大きなリスクを伴います。
今回は「公正証書」の役割と効力について説明します。
「協議離婚」口約束ではダメ!
協議離婚は最も一般的で簡単な離婚方法です。
但し、夫婦間で離婚条件の合意を確実に取り、その内容を「公正証書」として作成することは極めて重要であることを知っておきましょう。
夫婦間の「口約束」は、時間の経過と共に守られなくなることが多数あります。
例えば「養育費」一つ取って見ても、滞りなくしっかりと支払われているケースは、全体のわずか20%しかありません。
いかに口約束だけでは危険かが象徴されている統計だと言えるでしょう。
「協議離婚」公正証書の効力は?
先に述べた通り、協議離婚で決定したはずの約束を相手が守らないというケースは多く存在します。
しかし、こういった問題は「公正証書」を作成しておけば解決ができます。
「公正証書」は強制的な執行力を発揮する文書であり、裁判を起こさなくとも、夫の給与や財産差し押さえができます。
離婚後の生活を困窮させないためにも、必ず公正証書を作っておくことを強くお勧めします。
但し、個人的に書いた「誓約書」にはそういった強制力(効力)がありません。
公正証書とは国の公証制度に基づくものであり、「公証役場」で作成する必要があります。
どのような内容でどう決めていけば良いか不安がある場合は、弁護士に「相談する」という方法もありますので、検討してみましょう。
「協議離婚」公正証書に載せる内容とは?
公正証書に記載する内容は、夫婦に子供がいるか否か等の条件によって違いがあります。
一般的な記載項目を見てみましょう。
■公正証書に載せることとは?
- 慰謝料、養育費
- 子供との面会交流について
- 財産分与の取り決め
- 年金分割について
- 親権と監護権について
- 借金清算について
つまり、協議離婚において「離婚条件」を話し合った際には、この記載事項全ての「合意」を取る必要があるのです。
内容があいまいであったり、合意が取れていなければ、公正証書を作ることができないことを押さえておきましょう。
個人で全ての合意を取ることに不安がある場合は、家庭裁判所に調停を申し込むという方法があります。
調停離婚ということになれば、調停員が「調停証書」というものを作成してくれます。
調停離婚で作成される「調停証書」には、協議離婚で作成する「公正証書」と同じ強制執行力があります。
離婚する際には、必ずどちらかの公的な証書を作成するようにしましょう。
まとめ
- 協議離婚の「口約束」は破られる危険性が高い。
- 個人的に書いた誓約書には強制力がない。
- 公正証書を持っていれば離婚後のトラブル時に強制執行力が使える。
- 調停離婚に持ち込み、調停証書を書いてもらうという方法もある。
長い離婚協議をようやく終え、ようやく新しい生活がスタートしても、相手が約束を破れば、また神経をすり減らすことになります。
離婚を決意した相手とは、一日も早く離れたいものですが、慌てて離婚準備を進めればツケが回ってくることになります。
財産分与や養育費問題、離婚後の面会交流の取り決め等、細かく公正証書に記しておくことで、将来の自分と子供の生活を守りましょう。
シングルマザー生活が吉と出るか凶と出るかは、しっかりとお金を確保できるか否かにかかっています。
離婚後の生活が貧困状態にならないようにするためには、夫に約束をしっかり守らせることが必要です。