妻が夫と別居をしたいと思ったときに、妻が専業主婦の場合、まず経済的な点が一番心配になると思います

ここでは別居中の生活費を夫に請求できる「婚姻費用」について説明していきます。

婚姻費用とは


別居をしても離婚届を出さない限り、法律上は夫婦のままです。

夫婦には相互扶養の義務があるので、お互いのどちらかのみが生活に困窮することが無いようお互いに助け合う必要があります。

この相互扶養の義務は別居中の夫婦にも当てはまるので、別居中に妻及び未成年の扶養を必要とする子供が生活に困窮しないよう収入に応じて生活費を渡す必要があります。

この場合の生活費を「婚姻費用」と言います。

この「婚姻費用」については夫婦の相互扶養の義務によるものなので、逆に妻のほうが収入が高ければ、妻が夫に支払う必要があります。

「婚姻費用」と「養育費」を混同して考えている方もいらっしゃいますが、養育費とはあくまで離婚後に子供を養育するために支払われるものなので、別居中の妻を含む家族全員の生活費に充てることができる婚姻費用とは全く性格が異なります。

婚姻費用の決め方


婚姻費用の具体的な金額はどのようにして決まるのでしょうか。

婚姻費用の金額を決める条件は次の3つになります。
  • 夫の収入
  • 妻の収入
  • 子供の人数
妻が専業主婦で、子供の数が多ければ夫が支払う婚姻費用の金額は多額になり、妻にいくらかの収入があり、子供がいない場合には婚姻費用の金額は少額になります。

子供の養育を夫が行い、かつ妻のほうが収入が多い場合には妻が夫に婚姻費用を支払う必要があります。

婚姻費用は慰謝料などいくらでも請求できるものとは異なり、上記の3つの条件に当てはめた相場というものがあります。

裁判所のホームページに婚姻費用算定表というものがあり、それによると夫婦のみで子供がなく、夫の給与所得が400万円程度の場合に妻に支払う婚姻費用は4万円から6万円程度になります。

妻が不貞行為などの有責行為を行い、別居している場合には、例外的に妻の分の婚姻費用の支払いが認められないケースもありますが、そのような場合でも子供に対する婚姻費用は支払う必要があります。

婚姻費用に関する手続き


婚姻費用は、婚姻費用が請求できる側、例えば妻が自分で請求することも可能です。

しかし、別居を行うまでに関係がこじれてしまった夫婦同士で婚姻費用の請求を行っても、要求を受け入れてもらうことは困難です。

そのような場合には、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てると良いでしょう。

しかし、これはあくまで調停なので、話し合いが合意しない場合もあり、強制的に婚姻費用を相手に支払わせることはできません。

また、婚姻費用分担請求調停が成立した場合でも、婚姻費用の支払いを受けることができるのは、婚姻費用の請求をしてから離婚または別居状態の解消までの期間なので、別居を始めた日にさかのぼって支払いを受けることはできません。

そのため、別居を始めたら一日も早く婚姻費用を請求しなければ、金銭的な面で損をしてしまいます。

裁判所に婚姻費用分担請求調停を行うことで、相場通りの婚姻費用を受け取ることができます。

まとめ

  • 婚姻費用は別居中に収入が少ないほうに送る生活費
  • 婚姻費用の額は夫婦の収入と子供の数によって額が異なる
  • 正しい相場の婚姻費用を受け取りたい場合には婚姻費用分担請求調停を申し立てる
  • 婚姻費用の支払いは別居開始時ではなく婚姻費用を請求した時点から

ここでは、婚姻費用とその請求方法について説明してきました。

婚姻費用は別居中の家族に対する仕送りなので、養育費とは異なり、妻の生活費としても受け取ることができます。

婚姻費用を請求するためには、裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てましょう。