今や日本における離婚のスピードは、3分に1回とも、2分に1回ともいわれています。
それほど多数の離婚が成立しているということになりますが、その内容は千差万別です。
財産分与で揉める夫婦もいれば、親権の取り合いで揉める夫婦もいます。
また、離婚すること自体をどちらかが拒否していて、決着がつかないというケースも少なくありません。
離婚裁判は、協議(話し合い)がまとまらない夫婦が決着をつけるための一つの方法です。
具体的に、離婚裁判とはどのように準備し、進めていけば良いかをご説明します。
「離婚裁判」とは
現在、日本において離婚を成立させるための方法は3つあります。
■日本における離婚の方法
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚
「協議離婚」とは、夫婦の協議(話し合い)によって、お互いに内容合意を取って離婚する方法です。
離婚方法の中で最も選択されていて、約9割の夫婦が協議離婚によって離婚が成立しています。
次に「調停離婚」ですが、この方法も基本的には夫婦の話し合いと合意によって内容が決まります。
但し、調停離婚の場合、話し合いに調停員と裁判官が入る点が、協議離婚とは大きく違います。
そして、3つ目の離婚方法が裁判による離婚です。
裁判による離婚は、通常「裁判離婚」または「審判離婚」等と呼ばれています。
裁判離婚では、離婚に必要となる様々な条件を「審判」で決定づけることになります。
多くの場合、「協議」や「調停」で決着がつかず、最終手段として裁判離婚に持ち込むことが多いといわれています。
但し、相手に不貞行為があり慰謝料を請求したい場合等は、本人の意志ではじめから裁判を選択する人もいます。
そうした場合、日本では「調停前置」という考え方があるため、一度調停にかけた上で裁判へと進めていきます。
離婚裁判の流れと手続きについて
ここでは離婚裁判の流れと基本的な手続きについてご紹介します。
■離婚裁判を起こすための手続き
- 離婚内容の「何」を裁判で取り上げるかを決める。
- 裁判に必要となる書類を揃える。
- 不貞行為に対し慰謝料請求もする場合は、その証拠を用意する。
- 夫婦の年金分割も裁判で申し立てる場合は、別途書類を用意する。
- 現住所地がある家庭裁判所に「訴状」及び必要書類を提出する。
- 別の家庭裁判所で裁判を起こしたい場合は、事前に夫の了承を得ておく。
次に、離婚裁判はどのように進んでいくのかを見てみましょう。
■裁判による離婚判決までの流れ
- 家庭裁判所に訴訟の申し立てをする。
- 第1回口頭弁論「期日」の通知が来る。
- 約1ヵ月に1回程度の頻度で裁判が開かれる。
- 多くの場合は家裁より「和解案」が提示される。
- 判決が言い渡される。
判決が出た後、2週間の控訴期間内に「控訴」がされなければ判決が確定します。
「離婚裁判」に必要なものとは?何か準備が要るの?
裁判は、どちらかが訴える(訴訟を申し立てる)ことから始まります。
訴えた側は「原告」、訴えられた相手は「被告」という立場になります。
なお、離婚裁判においては、「不倫などの不法行為(不貞行為)をした側」からの請求は認められていません。
仮に夫が不貞行為をしていた場合は、妻から裁判を起こすことはできても、夫からはできないということになります。
■離婚裁判を申し立てるときに必要な書類
- 訴状
- 夫婦の戸籍謄本
- 年金分割をする場合は「年金分割の情報通知書」
- 源泉徴収票・預金通帳のコピー
- 収入印紙
- 郵便切手
必要となる「収入印紙」は、請求内容によって異なります。
なお、上記必要書類は全てコピーを取り「2部」ずつ必要となります。
「離婚届」は離婚成立(判決確定)から10日以内に役所に提出しなければなりません。
まとめ
- 現在、離婚する夫婦の9割が「協議離婚」を選択している。
- 離婚裁判を起こす際は、家庭裁判所に申し立てをする。
- 必要書類は申し立てる内容によって変わる(増える)。
- 判決が確定したら10日以内に離婚届を役所に提出しなければならない。
離婚裁判を申し立てるときに必要な書類は、通常は2部ずつ用意するのが基本です。
但し、「被告」の人数が増えると、部数も増やす必要があることを知っておきましょう。
被告の人数が増える例としては、夫の不貞行為に対し慰謝料を請求する際、その浮気相手も「被告」とするようなケースです。
なお、裁判終了後に「離婚届」を提出するのは、原告(訴えを起こした人)になりますので、合わせて覚えておきましょう。